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特定技能「漁業」とは?

2024.10.25新着情報一覧

今回は特定技能の分野の一つである漁業ついてまとめていきます。

かつて日本は漁業大国でしたが、ここ数十年、漁業就業者の数は減少し続けています。

農林水産省では漁業の新規就業者を確保するためにさまざまな取り組みをおこなっていますが、それでも人手不足を改善するのは困難な状況です。

そのため漁業分野は、一定の技能を持った外国人材の受入れができる特定産業分野の一つとなっています。

そこで今回は、農業分野において特定技能のビザを取得することで、どのような業務に従事できるのか、必要な条件等についてまとめていきます。

 

1.業務内容

現在2つの区分となっており、それぞれの区分における業務内容は以下の通りです。

・漁業区分

海洋での漁業活動や、魚の収穫、取り扱いなどの業務を行います。詳しい業務内容は以下の通りです。

・釣りによる方法を主とした魚介類の捕獲(延縄漁、カツオ一本釣り漁、イカ釣り漁 等)

・網やカゴによる方法を主とした魚介類の捕獲(定置網漁、まき網漁、曳網漁 等)

・漁具(網、カゴ等)の修理作業

・ソナーや魚群探知機による魚群の探索

・漁に使用する網・縄を巻き上げる機械(ネット・ラインホーラー)、自動イカ釣り機等の機械操作

・漁獲物の選別、函詰め、冷凍作業、下処理

・漁港での漁獲物や漁具等の荷揚げ作業

・その他付随業務

・養殖業区分

魚介類の養殖、管理、収穫、販売に関わる業務を行います。詳しい業務内容は以下の通りです。

・魚類や貝類、藻類などの育成

・養殖魚の給餌、死んだ魚や残餌等の除去

・養殖貝類の付着物の清掃

・養殖水産動植物の収獲(穫)、魚市場や陸揚港への運搬作業

・養殖貝類の殻剥き

・養殖池や網の清掃、水質等の管理

・養殖筏の製作、補修

・養殖水産動植物の種苗の生産、採捕

・その他付随業務

 

その他付随業務に関しては、「当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない」とされており、付随業務に当たり得るものとして、以下の内容が想定されています。

・漁具・漁労機械の点検・換装

・船体の補修・清掃

・魚倉、漁具保管庫、番屋の清掃

・漁船への餌、氷、燃油、食材、日用品その他の操業・生活資材の仕込み・積込み

・出漁に係る炊事・賄い

・採捕した水産動植物の生簀における畜養その他付随的な養殖

・養殖用の機械・設備・器工具等の清掃・消毒・管理・保守

・鳥獣に対する駆除、追払、防護ネット・テグス張り等の養殖場における食害防止

・養殖水産動植物の餌となる水産動植物や養殖用稚魚の採捕その他付随的な漁業・自家生産物の運搬・陳列・販売

・自家生産物又は当該生産に伴う副産物を原料又は材料の一部として使用する製造・加工及び当該製造物・加工物の運搬・陳列・販売

・魚市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け

・体験型漁業の際に乗客が行う水産動植物の採捕の補助

・社内外における研修

 

2.業務可能な場所

漁業分野は、農業分野と同様季節によって繁忙期・閑散期があるため、通年雇用が難しい場合もあるため、雇用形態として直接雇用だけでなく派遣も可能です。

直接雇用の場合、前述の特定技能外国人が従事できる業務を担っている事業者が直接雇用契約を結びます。

派遣雇用の場合、雇用契約は派遣元となる労働者派遣事業者と特定技能外国人の間で結びます。

漁業分野で派遣事業者として特定技能外国人を受入れるには、以下のいずれかに該当し、法務大臣が農林水産大臣と協議のうえで適当であると認められる必要があります。

① 漁業又は漁業に関連する業務を行っている者であること
② 地方公共団体又は①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること
③ 地方公共団体の職員又は①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること

特定技能外国人の派遣先と派遣元との間では「労働者派遣契約」が結ばれ、外国人は派遣先の事業者の指揮命令を受け漁労作業等に従事します。

また、派遣先の地域は、派遣元の責任者が派遣労働者からの苦情処理を含めた雇用管理を日帰りで適切におこなうことができる範囲でなくてはいけません。

さらに、事業所で行っている業務内容によって、特定技能人材受け入れに係る在留資格の申請手続きをする際に必要に応じた書類を提出しなければなりません。

・農林水産大臣または都道府県知事の許可または免許を受け漁業又は養殖業を営んでいる場合

大臣許可漁業の許可や定置漁業の免許を受けている場合等が該当し、次のいずれかの書類が必要となります。

  • 許可証の写し
  • 免許の指令書の写し
  • その他許可又は免許を受け漁業又は養殖業を営んでいることが確認できる公的な書類の写し

・漁業協同組合に所属して漁業又は養殖業を営んでいる場合

漁業協同組合の共同漁業権の内容に沿った漁業を営んでいる場合等が該当し、次のいずれかの書類の提出が必要です。

  • 漁業協同組合の漁業権の内容たる漁業又は養殖業を営むことを確認できる当該組合が発行した書類の写し
  • その他漁業協同組合に所属して漁業又は養殖業を営んでいることは確認できる書類の写し

・漁船を用いて漁業又は養殖業を営んでいる場合

次のいずれかの書類が必要となります。

  • 漁船原簿謄本の写し
  • 漁船登録票の写し

 

3.協議会について

漁業分野において、農林水産省により協議会が設置されており、特定技能外国人を受入れるにあたって、受入れ機関は協議会の構成員になる必要があります。

協議会へは特定技能人材の在留申請を行う前に加入する必要があるため、受け入れたい時期に合わせて、協議会の加入を進める必要があります。

 

4.特定技能1号ビザ取得の条件

特定技能1号の資格を取得するためには、主に次の2つの要件を満たす必要があります。

・技能試験の合格

対象となる職種に関連した技能試験に合格する必要があります。

各区分で必要とされる基本的な業務に関する理解が求められ、以下のような内容が試験範囲に含まれます。

〈漁業区分〉

主に漁業作業や船上での活動に従事する技能を評価する試験で、実務試験と筆記試験があります。

実技試験では、船上や陸上で実際に必要とされる作業能力を確認します。特に、漁具の取り扱いや魚の処理に関するスキルが重要です。

  • 漁具の扱い
  • 船上での作業
  • 魚の仕分け・処理
  • 安全対策

筆記試験では、漁業に関する基礎知識や安全に関する知識が問われます。

  • 漁具や漁法の知識
  • 漁業における法規
  • 安全対策

〈養殖業区分〉

主に魚介類の養殖業に従事するための技能を評価します。魚介類の育成、管理、収穫、処理などが含まれるため、陸上での作業が中心です。

漁業区分と同様、実技試験と筆記試験に分かれており、実技試験では養殖に関する基本的な操作や管理能力を確認する試験が実施されます。

  • 魚介類の健康管理
  • 収穫作業
  • 養殖設備の管理
  • 環境管理

筆記試験では、養殖に関する知識が問われます。

  • 養殖の基本知識
  • 魚介類の生態や種類
  • 環境管理に関する法規
  • 安全対策

 

・日本語能力試験の合格

農作業においても日本語でのコミュニケーション能力は求められており、日本語能力試験(JLPT)N4以上、日本語基礎テスト (JFT-Basic)相当以上の日本語スキルを証明する必要があります。

 

5.在留資格の期間と条件

特定技能1号の在留資格は、最長5年間の就労が可能です。

この期間中に、働く企業や職場環境を変更することも可能ですが、その際には新たな職場が特定技能の認定を受けている必要があります。

なお、「2号漁業技能測定試験」及び「日本語能力試験(N3以上)」の合格、漁業区分においては漁船法(昭和25年法律第 178 号)上の登録を受けた漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、養殖業区分においては、漁業法(昭和24年法律第267号)及び内水面漁業の振興に関する法律(平成26年法律第103号)に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験をそれぞれ満たすことで特定技能2号への移行が可能になり、さらなる長期滞在や家族帯同も認められます。

 

.給与と労働条件

賃金や福利厚生は通常の日本人の現場従事者と同等、もしくはそれに準ずる額が支払われます。

基本的には、労働基準法に基づき、労働時間や休憩時間、残業代などが適用されるため、日本人労働者と同等の待遇が保障されています。

 

 

漁業分野での特定技能制度の導入は、労働力不足の解消地域経済の活性化など多くのメリットをもたらします。

日本の漁業従事者は年々減少傾向にあり、熟練の高齢労働者が引退していくにもかかわらず、「過酷な労働環境」や「後継者不足」、「過疎化」を理由に若年層の新漁業従事者の人数は横ばいであり、人手不足の深刻化、そして安定的な水産物の供給の体制が危うくなる可能性も否めない状況になっています。

よって、特定技能を活用することで若手の人材を雇用することができ、上記の悩みを解決することに繋がります。

一方で、言語や文化の違い労働条件の改善技術の習得などの課題に対処する必要があります。

特に漁業は肉体労働のうえ労働時間も不規則です。また気象の影響を受けやすく、自然災害などの危険とも隣り合わせのため、外国人労働者が安心して働ける環境を整備し、現場での安全性や労働条件を改善することは、制度を成功させるためには必須になります。

今後の人材獲得のために、ぜひ参考にしてみてください。

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