技能実習制度と育成就労制度の違いとは?
2024.09.17新着情報一覧
前回、育成就労制度の概要についてまとめましたが、今回は技能実習制度と育成就労制度でどの部分が違うかをまとめていきます。
・制度の目的
技能実習生制度の目的は「国際貢献」です。日本の技術を外国人に習得させ、母国での経済発展に役立てる狙いがあります。
育成就労制度では、目的が「人材確保」と「人材育成」になりました。日本は産業全般で労働者が人手不足です。日本の労働市場のニーズに合わせて目的が変更されました。
・在留期間
技能実習制度では1号から3号の合計5年間とされています。
育成就労制度では3年間となり、特定技能1号の試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認めます。
・受け入れできる職種
制度を利用しての就労には、受け入れできる職種に制限があります。
技能実習制度は、90職種165作業と幅広い分野での受け入れが可能です。一方で、育成就労制度では、特定技能制度における特定産業分野と原則一致が義務付けられ、製造業、介護、建設業等の16分野に限定されます。「産業のカテゴリー」に該当しない職種には、育成就労制度では就労できません。
よって、育成就労制度に移行に伴い、受け入れできない職種が増える懸念点があります。
・転籍の権利
現行の技能実習制度では、契約中の企業に不満があったとしても、原則として3年間は別の企業に転籍できません。
このような「逃げられない環境」が、外国人失踪の一因となっています。
育成就労制度では、以下の条件を満たせば、本人の意向による転籍が可能になりました。
- 同じ業務の区分内である
- 技能検定試験の基礎級を合格する
- 同一機関での就労が1〜2年を超えている(就労期間は分野によって定めあり)
- 日本語能力に係る試験(A1~A2相当)を合格する
- 転籍先が、育成就労を適正に実施する基準を満たしている
外国人の権利が保護され、働きやすい環境が少しずつ整備されています。
・日本語能力の要件
育成就労制度では、外国人に対して日本語能力の要件が追加されました。就労前までに、以下のいずれかの要件を満たすことが求められます。
- 日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格
- 認定日本語教育機関等において上記に相当する日本語講習を受講
要件を満たすために、受け入れ企業は外国人への日本語学習サポートを視野に入れる必要があります。
以上が技能実習制度と育成就労制度の主な違いであり、他にも管理団体の機関の要件の適正化、母国からの送り出し要件の適正化等がございます。
技能実習制度とは似ているようで違う点が様々で、より特定技能制度に近づいたものになります。
次回は育成就労生を受け入れることによるメリット・デメリットをまとめていきます。