派遣会社の倒産・摘発が相次いでいる理由とは?
2025.01.13新着情報一覧
近年、派遣会社の倒産や摘発が相次いでいます。2023年ごろから徐々に増え始め、2025年も始まってすぐにとある派遣会社が倒産、給料未払いの問題が発生しているとのニュースも出ています。
また、ある企業では外国人の不法労働を行ったことにより行政より摘発を受けています。
近年はどの業界も人手不足といわれているにもかかわらず、なぜ派遣会社の倒産・摘発が相次いでいるのか、要因について解説します。
1. 派遣会社の倒産が増加する背景
(1) 人件費の高騰と価格転嫁の難しさ
少子高齢化や物価上昇、政府主導の賃上げ政策により、人件費が増加しています。
しかし、派遣会社からの単価交渉に応じる企業が少なく、特に中小規模の派遣会社では、このコスト増加分を派遣先企業に転嫁することが難しく、経営が圧迫されています。
(2) 派遣先企業の減少
景気の悪化や企業のコスト削減の影響で、派遣先企業が減少しています。これにより、派遣会社の収益が低下し、経営難に陥るケースが増えています。
(3) 業界内の競争激化
人材派遣業界内での競争が激しく、特に小規模な派遣会社は人材確保や派遣先の開拓で大手企業に対抗することが難しくなっています。
特に人材確保の面で苦しむ派遣会社が増えており、人材確保の方法が確立されていない派遣会社は継続が困難になります。
この結果、業績が低迷し、倒産に至るケースが増加しています。
2. 派遣会社が摘発される主な理由
(1) 違法派遣(労働者派遣法違反)
- 二重派遣(多重派遣):一次受けの派遣会社が、労働者をさらに別の派遣会社に再派遣する行為は法律で禁止されています。
- 偽装請負:請負契約を装いながら、実態は派遣である場合。派遣先企業が直接指揮命令を行うと偽装請負とみなされます。
(2) 無許可営業(無許可・無届出派遣)
労働者派遣事業を行うには、厚生労働省の許可が必要です。許可を取得せずに事業を行うと摘発対象になります。
(3) 労働条件・契約違反
- 最低賃金未満の賃金支払い(最低賃金法違反)
- 長時間労働や残業代未払い(労働基準法違反)
- 有給休暇の未付与や社会保険の未加入
(4) 外国人労働者の違法就労
在留資格外活動許可のない外国人を派遣することは出入国管理法違反です。特に、技能実習生や特定技能労働者の派遣は原則禁止されています。
また、技術・人文知識・国際業務のビザを持つ労働者を単純作業を行う派遣先に派遣することも違法であり、違法派遣になります。
(5) 派遣期間の超過
同一部署・業務への派遣期間は最長3年と定められており、これを超える派遣は違法です。
(6) マージン率の未開示・不正請求
派遣料金と労働者への賃金の差額(マージン率)を開示しないことや、虚偽報告、不正請求も摘発の対象となります。
まとめ
派遣会社の倒産や摘発は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生しています。企業の経営環境や法令遵守の重要性が増す中、健全な経営と適正な労務管理が不可欠です。今後も業界の動向に注視し、法令遵守を徹底することが求められます。
また、今年は特に派遣会社の倒産が相次ぐといわれており、人を集められない派遣会社から倒産していくといわれています。
帝国データバンクが公表している「人手不足の業界ランキング」に、2024年10月時点で派遣会社は全体の3位になっており、派遣会社の人手不足は悪化の一途を辿っています。
現在多くの企業様で派遣会社とお付き合いがあるかと思いますが、今後は「これまでの付き合いの長さ」ではなく、「確実に人材を紹介してくれるか」に重きを置いて派遣会社の選定をしていく必要があります。
今一度、自社でお付き合いのある派遣会社について見直しをしてみることをお勧めします。