特定技能「介護」とは?
2024.10.07新着情報一覧
特定技能では現在12の分野があり、それぞれの分野で業務内容はもちろん、人材を受け入れるために必要な条件や手続き等が異なります。
そこで今回から、特定技能の各12分野にてどのような業務を行っているか、受け入れる際の要件等をまとめていきます。
今回は介護分野についてまとめていきます。
特定技能1号の介護分野について
特定技能の介護分野は、日本の介護業界において人手不足を解消するために導入された在留資格の一つです。この資格を取得することで、外国人労働者が介護職として日本で就労することが可能になります。特定技能には「1号」と「2号」がありますが、介護分野に関しては「1号」が主に利用されています。
1. 業務内容
主に利用者の生活支援、入浴・排泄・食事などの日常生活の介助を行います。
また、利用者に対するレクリエーションの実施、リハビリテーションのサポート、健康管理なども行います。
特定技能人材に任せられる業務について、「訪問介護サービス業務は可能か」という話もよく出てきますが、現行のルールでは認められておらず、利用者の居宅においてサービスを提供するような訪問介護等の訪問系サービスは対象外になっています。
これは、利用者と特定技能外国人双方の人権擁護の観点、また適切な在留管理の観点から認められていません。
しかし、介護業界での人材不足は年々悪化してきており、訪問系サービスも例外ではないことから、政府より訪問系サービスでの特定技能人材雇用の解禁が発表されています。
詳しい時期についてはまだ発表されていませんので、詳細については続報を待つ形となりますが、将来的に受け入れは可能になるため、訪問系サービスを行っている事業所も情報収集をしておく必要があります。
今回は現行のルールにのっとって解説していきます。
2.受け入れ対象施設
介護分野で特定技能外国人を雇用できる場所(事業所)は、「介護福祉士国家試験の受験資格の認定において実務経験として認められる事業所」であること、という要件があります。
具体的にどういうことかと言いますと、「特別養護老人ホーム」や「障がい者(児)施設」、「地域福祉センター」といった社会福祉施設や、対象者が高齢者・障がい者(児)であり、主たる業務が介護業である施設(事業所)等がこれにあたります。
ただし上記のように、特定技能外国人に訪問介護等の訪問系サービスにおける業務を任せることはできません。例えば特別養護老人ホームの運営と訪問介護サービスを行っている事業所の場合、特定技能外国人を雇用することはできますが、訪問介護サービス業務を任せることはできないので、注意する必要があります。
また、介護施設の一つに「有料老人ホーム」という施設がありますが、こちらはサービスの提供形態によって受け入れられる場合とそうでない場合があります。
受入れ可能な施設は、「特定施設入居者生活介護」、「介護予防特定施設入居者生活介護」、「地域密着型特定施設入居者生活介護」を行っているところが対象となります。
基本的には介護付きの有料老人ホームは対象となりますが、上記の3事業を行っていない各家庭への訪問介護とみなされる住居提供をしている住宅型有料老人ホームは対象外となります。
3. 必要な技能と日本語能力
介護分野で働く際、特定技能人材は介護技能評価試験と日本語能力評価試験に合格する必要があります。
日本語能力は、利用者や従業員とのコミュニケーション、利用者の様子をまとめる必要があることなどから、N4レベル以上が求められることが多いです。
技能評価試験には、日本の介護業務に関する基本的な知識と技術が問われます。
4. 雇用時の注意点
①受け入れ人数の上限
介護分野での特定技能人材の受け入れ上限数は、日本人等の常勤介護職員の総数となり、それを上回る数の特定技能外国人を雇うことはできません。
常勤介護職員には「介護」ビザで働いてる外国人も含まれます。
ただしこの人数は「事業所単位」となり、一つの法人で複数の事業所を持っている場合は、その事業所毎での人数制限となります。
②雇用形態
雇用形態は直接雇用で「フルタイム」である必要があり、派遣は認められていません。
このフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であること、そして週の労働時間が30時間以上であることとされています。
5. 福利厚生と待遇
日本人と同等の待遇が求められており、労働基準法に基づく福利厚生や給与条件が適用されます。
雇用主は、入国時に適切なサポートを提供する義務があり、生活指導や日本語教育なども支援の一環として提供されることがあります。
協議会加入について
介護分野にて特定技能人材を雇用する際、厚生労働省が管轄する協議会への加入が求められます。
また、特定技能人材の在留申請の際に協議会の構成員であることの証明書の提出が必要となったため、在留申請を行う前に協議会加入が必要となります。
協議会事務局への入会申請はwebで行います。申請から加入まで約1~2週間かかるため、計画的な申請が必要になります。
詳しい手続きの流れは以下の資料を参照ください。
https://nbu.jp/wp-content/uploads/2021/11/206.pdf
取得方法とプロセス
- 技能試験と日本語試験
特定技能の資格を取得するためには、日本国内または海外で実施されている技能評価試験と日本語評価試験に合格する必要があります。 - 就労契約の締結
合格後、日本の介護施設と就労契約を締結し、在留資格認定証明書の申請を行います。 - 入国・就労開始
許可が下りれば、日本に入国して就労を開始できます。
特定技能2号への進展
介護分野では現在、特定技能2号の対象にはなっていません。
介護分野には「介護」という在留資格が存在し、これは介護福祉士の資格を取得した外国人材が取得できる在留資格です。
「介護」を取得すると在留期間の更新が無期限となり、家族の帯同が認められるなど、さらに安定した就労が可能です。
厚生労働省は7月9日、近い将来必要になる介護職員数を発表しています。2019年度時点で介護職員として働いていた人数(約211万人)を基準として、2023年度には22万人ほど積み増した約233万人が必要になるとしています。さらに、2025年度では32万人増の約243万人、2040年度に約69万人増の約280万人が必要になると見通しています。
この数を、少子高齢化が進んでいる日本のみで賄うことはとても難しい状況です。
介護分野の特定技能1号は、日本における介護人材の不足を補うための重要な施策であり、海外からの労働力が日本の高齢化社会を支える一助となることを期待されています。
「今は充足している」という事業所でも、将来的に人材不足に陥る可能性は十分あるため、将来的な経営のためにも特定技能人材の受け入れの検討、情報収集を行ってみてはいかがでしょうか。