特定技能「宿泊」とは?
2024.10.22新着情報一覧
今回は特定技能の分野の一つである宿泊についてまとめていきます。
宿泊施設は旅や慣れない場所での疲れを癒してくれる大切な場所ですが、人手不足が深刻な状況になっています。
宿泊分野は、人材不足が深刻で、かつ国内で人材を十分に確保することが難しいということから特定技能外国人を受け入れることができる対象分野となっています。
特定技能のビザを取得することでどのような業務に従事できるのか、必要な条件等についてまとめていきます。
1.業務内容
旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供が主な業務となります。
詳しい業務内容は以下のとおりです。
・フロント業務
チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配、その他付随業務
・企画・広報業務
キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、HP、SNS等による情報発信、その他付随業務
・接客業務
旅館やホテル内での案内、宿泊客からの問い合わせ対応、その他付随業務
・レストランサービス業務
注文への応対やサービス(配膳・片付け)、料理の下ごしらえ・盛りつけ、その他付随業務
ホテルや旅館内のレストランを、ホテル・旅館自体が直接経営している場合の当該レストランでの業務は、「宿泊分野」「外食分野」の どちらにも該当します。
しかし、ホテルや旅館内のレストランを別の事業者が経営しているような場合、その別の事業者の主たる業務が「飲食店」「持ち帰り・配達飲食サービス業」に該当する場合は、「外食業」分野に該当します。
直接経営でないレストランでは宿泊分野での受け入れはできないため、注意が必要です。
その他付随業務に関しては、「当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない」とされており、付随業務に当たり得るものとして、旅館やホテル内における販売、備品の点検・交換等が想定されています。
ただし「風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律」第2条6項4号に規定する施設(ラブホテル等)において就労させないこと、同法第2条3項に規定する「接待」を行わせないことが求められていますので注意しましょう。
2.業務可能な場所
宿泊分野で特定技能外国人を受け入れられるのは、旅館業法2条2項に規定する旅館・ホテル営業の形態で旅館業を営んでいること、かつ以下の条件を満たしていること、かつ旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること、風俗営業法に規定する「施設」に該当しないこと、特定技能外国人に対して風俗営業法に規定する「接待」を行わせないことを満たした事業所です。
旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」ということになりますが、旅館業は「旅館・ホテル営業」、「簡易宿所営業」、「下宿営業」に分類されています。
特定技能外国人を受け入れることが可能な事業所は、「旅館・ホテル営業」の許可を得ているところになり、「簡易宿所営業」と「下宿営業」は対象外となります。
3.協議会について
宿泊分野において、国土交通省により協議会が設置されており、特定技能外国人を受入れるにあたって、受入れ機関は協議会の構成員になる必要があります。
協議会へは特定技能人材の在留申請を行う前に加入する必要があるため、受け入れたい時期に合わせて、協議会の加入を進める必要があります。
なお、この分野では特定技能人材の管理・支援を行う登録支援機関も協議会に加入する必要があるため、支援委託をする登録支援機関が協議会に入っているか、今後加入は可能か等を確認する必要があります。
4.特定技能1号ビザ取得の条件
特定技能1号の資格を取得するためには、主に次の2つの要件を満たす必要があります。
・技能試験の合格
対象となる職種に関連した技能試験に合格する必要があります。
ホテルや旅館で必要とされる基本的な業務に関する理解が求められ、以下のような内容が試験範囲に含まれます。
①フロント業務
- チェックイン・チェックアウトの手続き
- 予約管理(電話予約やインターネット予約の対応)
- 顧客対応(お客様の質問や要望に対応する)
- 会計業務(料金の支払い、精算作業)
- 施設案内(お客様に施設や周辺情報を提供する)
②接客業務
- 接客マナー:お客様への礼儀や適切な言葉遣い、身だしなみ
- 食事サービス:レストランでの配膳、注文対応、後片付け
- お客様の要望への対応:部屋の変更や特別なリクエストに応じる
③清掃業務
- 客室清掃:ベッドメイキング、ゴミの処理、バスルームやトイレの清掃
- 共用スペースの清掃:ロビー、廊下、レストランなどの清掃と整備
④宿泊施設の運営管理
- 安全管理:火災、緊急時の対応、避難誘導
- 備品管理:アメニティの補充や設備の点検
- 環境配慮:節水、節電、エコ活動の推進
これらの知識と技術が、実際の宿泊施設での業務にどれだけ応用できるかが評価されます。
・日本語能力試験の合格
宿泊業務において日本語でのコミュニケーション能力は必須であり、日本語能力試験(JLPT)N4以上、日本語基礎テスト (JFT-Basic)相当以上の日本語スキルを証明する必要があります。
5.在留資格の期間と条件
特定技能1号の在留資格は、最長5年間の就労が可能です。
この期間中に、働く企業や職場環境を変更することも可能ですが、その際には新たな職場が特定技能の認定を受けている必要があります。
なお、「宿泊分野特定技能2号評価試験」の合格、宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、 レストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務に従事した実務経験をそれぞれ満たすことで特定技能2号への移行が可能になり、さらなる長期滞在や家族帯同も認められます。
6.給与と労働条件
賃金や福利厚生は通常の日本人の現場従事者と同等、もしくはそれに準ずる額が支払われます。
基本的には、労働基準法に基づき、労働時間や休憩時間、残業代などが適用されるため、日本人労働者と同等の待遇が保障されています。
また雇用契約は、基本的にフルタイムでの直接雇用になります。
宿泊分野で特定技能労働者を雇用することは、労働力不足の解消や多言語対応の強化、新たな視点の導入など多くのメリットがあります。
特に、国際的な観光客に対して多言語対応が強化されることにより、外国からの観光客の満足度が向上し、宿泊施設の評判や再訪率の向上にもつながります。
しかし、日本語能力や文化の違い、生活面でのサポート、長期的なキャリア形成といった課題に直面することもあります。
これらの課題に対しては、企業が柔軟に対応し、労働者との円滑なコミュニケーションを図り、効果的なサポート体制を構築することが成功の鍵となります。
今後の人材獲得のために、ぜひ参考にしてみてください。