特定技能「建設」とは?
2024.10.17新着情報一覧
今回は特定技能の分野の一つである建設についてまとめていきます。
建設分野では、建設業務に必要な特定の技能と知識を持つ外国人労働者が対象となり、就労ビザの取得が可能です。
1.業務内容
基本的には 指導者の指示・監督を受けながら、決められた建設作業や整備作業、その他付随業務に従事します。
現在3つの区分となっており、それぞれの区分における業務内容は以下の通りです。
・土木区分
指導者の指示・監督を受けながら、型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工、とび、海洋土木工等の土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業、その他付随業務に従事
・建築区分
指導者の指示・監督を受けながら、型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、土工、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ、表装、とび、建築大工、建築板金、吹付ウレタン断熱等の建築物の新築、増築、改築若しくは移転又は修繕若しくは模様替に係る作業、その他付随業務に従事
・ライフライン・設備区分
指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、配管、建築板金、保温保冷電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等、その他付随業務に従事
その他付随業務に関しては、「当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない」とされており、付随業務に当たり得るものとして、原材料・部品の調達・搬送、機器・装置・工具等の保守管理、足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業、足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業、清掃・保守管理作業が想定されています。
2.業務可能な場所
以下の要件をクリアしている事業所にて受け入れが可能になります。
・建設業許可の取得
軽微な建設工事のみを請け負う場合は不要の建設業許可ですが、外国人を採用する場合には建設業許可の取得が必須となります。
・建設キャリアアップシステムへの加入
外国人を受入予定の企業は一般財団法人建設業振興基金が運営する建設キャリアアップシステムの事業者登録をする必要があります。
また、日本に在留する外国人を特定技能として受け入れる場合には、外国人本人も建設キャリアアップシステムの技能者登録をする必要があります。
・JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入
特定技能「建設」で外国人を受け入れるためには、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)に正会員団体の会員またはJACの賛助会員として加入する必要があります。
・国土交通省による建設特定技能受入計画の認定
出入国在留管理局へ特定技能としての資格取得に必要な申請を提出する前に、国土交通省による建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があります。
建設特定技能受入計画の申請は外国人就労管理システムを通じてオンラインで行います。
建設特定技能受入計画では申請から認定までにかかる標準的な審査期間は2ヶ月程度とされています。しかし、審査は非常に細かく、修正などの対応も多く発生するため、期間に余裕をもって申請することをおすすめします。
3.協議会について
建設分野では上記で説明したJACが「協議会」の役割を兼ねています。
JACとは、低賃金、長時間労働といった問題を抱える建設業界の労働環境改善や職業紹介、技能評価試験の実施などを行い、建設業界で働く特定技能外国人の受入や育成をサポートする機関です。
上記で正会員団体の会員またはJACの賛助会員として加入する必要があると書きましたが、どちらの加入方法を選んでも問題ありません。
しかし、会員となるために必要な費用が異なります。
・正会員団体の会員となる場合
JACの正会員である建設業者団体の会員となることで間接的にJACに加入したことになるため、JACへの年会費は発生しません。
しかし、所属する建設業者団体の会員となるための費用を負担しなければなりません。
・JACの賛助会員となる場合
JACへ直接的に加入することになるため、JACへ年会費を納める必要があります。
また、JACに加入するとJACまたは正会員団体に納める年会費の他に、特定技能外国人1人につき負担する必要のある受入負担金が発生します。
他の分野と違い、協議会加入に費用が発生するのが建築分野の特徴です。
4.特定技能1号ビザ取得の条件
特定技能1号の資格を取得するためには、主に次の2つの要件を満たす必要があります。
・技能試験の合格
対象となる職種に関連した技能試験に合格する必要があります。
試験の内容は、具体的な職種によって異なり、土木、建築、配管、解体など、それぞれの分野ごとに特定の技能を評価する項目が設けられています。
実技試験と筆記試験が行われることが多いです。
・日本語能力試験の合格
建設現場では日本語でのコミュニケーション能力が必要であり、日本語能力試験(JLPT)N4以上、日本語基礎テスト (JFT-Basic)相当以上の日本語スキルを証明する必要があります。
5.在留資格の期間と条件
特定技能1号の在留資格は、最長5年間の就労が可能です。
この期間中に、働く企業や職場環境を変更することも可能ですが、その際には新たな職場が特定技能の認定を受けている必要があります。
なお、「建設分野特定技能2号評価試験」、「技能検定1級」又は、「技能検定単一等級」の合格、建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験を満たすことで特定技能2号への移行が可能になり、さらなる長期滞在や家族帯同も認められます。
6.給与と労働条件
賃金や福利厚生は通常の日本人の現場従事者と同等、もしくはそれに準ずる額が支払われます。
基本的には、労働基準法に基づき、労働時間や休憩時間、残業代などが適用されるため、日本人労働者と同等の待遇が保障されています。
また雇用契約は、基本的にフルタイムでの直接雇用になります。
特定技能の建設分野には、人手不足の解消、多文化交流と職場の多様性の向上、地域経済の活性化といった多くの利点がある一方で、言語や文化の壁、待遇の課題など、解決すべき問題も存在しています。
これらの課題に対応し、外国人労働者がより働きやすい環境を整えることが日本の建設業界に求められています。
人材に関する悩みの解決のため、ぜひ受け入れをご検討ください。