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特定技能「農業」とは?

2024.10.23新着情報一覧

今回は特定技能の分野の一つである農業ついてまとめていきます。

私たちの生活に不可欠な「食」を支えてくださっている農家さんや農業従事者の数は減少の一途をたどり、高齢化が進んでいます。

日本人の就農者が減る中、日本の農業の現場では多くの外国人の姿をみかけるようになりました。

そこで今回は、農業分野において特定技能のビザを取得することで、どのような業務に従事できるのか、必要な条件等についてまとめていきます。

 

1.業務内容

各区分に該当する生産品の農作業、その他付随業務に従事します。

現在2つの区分となっており、それぞれの区分における業務内容は以下の通りです。

・耕種農業区分

耕種農業とは稲作(米)、穀物、野菜、果樹、きのこ栽培などの業種をいい、これらの業種において栽培管理、各作物に応じた土壌づくり、施肥作業、農産物の集出荷、選別等、その他付随業務に従事。

・畜産農業区分

畜産農業とは、牛、豚、鶏、馬等、動物の中でも家畜・家禽の飼育、肥育、ふ卵する業種をいい、これらの業種において飼養管理、各畜種に応じた器具の取扱い、個体の取扱い、観察畜産物の集出荷、選別等、その他付随業務に従事。

 

その他付随業務に関しては、「当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えない」とされており、付随業務に当たり得るものとして、以下の内容が想定されています。

・特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)が生産した農畜産物を原料又は材料の一部として使用する製造又は加工の作業

・特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)による農畜産物の生産に伴う副産物(稲わら、家畜排泄物等)を原料又は材料の一部として使用する製造又は加工の作業

・農畜産物(特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)が生産した農畜産物が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列又は販売の作業

・農畜産物を原料又は材料として製造され、又は加工された物(特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)が生産した農畜産物を原料又は材料の一部として使用し、製造され、又は加工された物が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列又は販売の作業

・農畜産物の生産に伴う副産物を原料又は材料として製造され、又は加工された物(特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)による農畜産物の生産に伴う副産物を原料又は材料の一部として使用し、製造され、又は加工された物(たい肥等の肥料、飼料等)が含まれる場合に限る。)の運搬、陳列又は販売の作業

・その他特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)で耕種農業又は畜産農業の業務に従事する日本人が通常従事している作業(畜産農業と耕種農業を複合経営している特定技能所属機関(労働者派遣形態の場合は派遣先事業者)において畜産農業の技能を有する特定技能外国人が耕種農業の作業に従事する場合、冬場の除雪作業に従事する場合等)

 

2.業務可能な場所

農業分野では、季節によって繁忙期・閑散期があるため、通年雇用が難しい場合もあるため、雇用形態として直接雇用だけでなく派遣も可能です。

直接雇用の場合、特定技能外国人が従事できる業務を担っている農業者(農家・農業法人)の他に、農業者等を構成員とする団体(JA等)のもとで業務を行うことが可能です。

また、JA等が特定技能外国人を雇用したうえで組合員等の農業者から農作業などを請け負い、特定技能外国人にその業務に従事してもらうということも可能です。

つまり、農家がJAに業務を委託し、委託した業務に特定技能外国人が従事するという形です。

直接雇用を行う際、上記事業者は、過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6カ月以上継続して雇用した経験、またはこれに準ずる経験が必要です。

ここでいう「労働者」とは外国人である必要なく、また正社員でなくても問題ありません。日本人のアルバイトやパートを6カ月以上継続して雇用した場合でも、認められます

「これに準ずる経験」とは、過去5年以内に6カ月以上継続して労務管理に関する業務に従事した経験をいいます。

派遣雇用の場合、派遣元事業者、派遣先事業者でそれぞれ要件を満たす必要があります。

派遣元事業者満たしている必要がある要件は以下の通りです。

① 農業又は農業関連業務を行っている事業者
(農業協同組合、農業協同組合連合会、農業者が組織する事業協同組合等を想定)

② ①又は地方公共団体が資本金の過半数を出資している事業者

③ ①又は地方公共団体が業務執行に実質的に関与していると認められる事業者
(①もしくはその役職員又は地方公共団体の職員が役員となっている等)

④ 国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関(国家戦略特区で農業支援外国人受入事業を実施している事業者)
※受け入れ事業終了後も④の該当性を失うことはありません

派遣元事業者満たしている必要がある要件は以下の通りです。

① 過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6カ月以上継続して雇用した経験

② 派遣先責任者講習、その他労働者派遣法における派遣先の講ずべき措置等の解説がおこなわれる講習を受講した者を派遣先責任者として選任していること
(例)都道府県労働局が実施する派遣先向けの講習等

 

3.協議会について

農業分野において、農林水産省により協議会が設置されており、特定技能外国人を受入れるにあたって、受入れ機関は協議会の構成員になる必要があります。

協議会へは特定技能人材の在留申請を行う前に加入する必要があるため、受け入れたい時期に合わせて、協議会の加入を進める必要があります。

 

4.特定技能1号ビザ取得の条件

特定技能1号の資格を取得するためには、主に次の2つの要件を満たす必要があります。

・技能試験の合格

対象となる職種に関連した技能試験に合格する必要があります。

各区分で必要とされる基本的な業務に関する理解が求められ、以下のような内容が試験範囲に含まれます。

〈耕種農業区分〉

  • 作物の栽培方法に関する知識
  • 育苗や植え付け、肥料の使用、病害虫対策などの実務的なスキル
  • 作物の収穫、選別、包装の技術
  • 農業機械の操作やメンテナンスの知識

〈畜産農業区分〉

  • 家畜の飼育や管理に関する知識
  • 飼料の給餌方法、衛生管理、繁殖技術
  • 牛や豚、鶏の健康管理、病気の予防と治療
  • 畜舎の清掃、機械のメンテナンスなどの作業

試験は、筆記試験と実技試験の2つに分かれている場合があります。

筆記試験では基本的な知識が問われ、実技試験では実際の作業や技能が評価されます。

・日本語能力試験の合格

農作業においても日本語でのコミュニケーション能力は求められており、日本語能力試験(JLPT)N4以上、日本語基礎テスト (JFT-Basic)相当以上の日本語スキルを証明する必要があります。

 

5.在留資格の期間と条件

特定技能1号の在留資格は、最長5年間の就労が可能です。

この期間中に、働く企業や職場環境を変更することも可能ですが、その際には新たな職場が特定技能の認定を受けている必要があります。

なお、「2号農業技能測定試験」の合格、農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験、農業の現場における実務経験をそれぞれ満たすことで特定技能2号への移行が可能になり、さらなる長期滞在や家族帯同も認められます。

 

.給与と労働条件

賃金や福利厚生は通常の日本人の現場従事者と同等、もしくはそれに準ずる額が支払われます。

基本的には、労働基準法に基づき、労働時間や休憩時間、残業代などが適用されるため、日本人労働者と同等の待遇が保障されています。

 

 

特定技能の農業分野で外国人労働者を雇用することは、深刻な人手不足を解消し、農業の持続可能性を高めるための大きなメリットがあります。

「農作業がきつい」「季節や天候によって仕事量が安定しない」「新規就農の難しさ」などを理由に日本人の若者の農業離れが加速していく中、特定技能制度を活用することで若い人材を獲得することができます。

しかし、言語や文化の違い、研修コストの増加、法的な管理などの課題もあるため、これらを適切に対処するための準備やサポート体制が重要です。

今後の人材獲得のために、ぜひ参考にしてみてください。

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